きょうのよろこび


宮城道雄 1928年作曲


昭和3年11月10日には 今上陛下の 即位の御大典が 行われ、 その奉祝のために

作曲されたのが 『越天楽変奏曲』で あるが、 それに先立って 9月には、 陛下の

弟宮の 秩父宮 (大正天皇第二皇子、 1902−53年) のご婚儀が 行われた。

この 『今日の喜び』 の曲は、 NHKの依頼により、 その奉祝記念放送のために

作曲されたものである。 現代と違って 皇族は 雲の上人として 臣民から 隔絶した

存在であったが、 その中で この秩父宮は たいへん庶民的な性格で、 特に

「スポーツの宮様」 として 国民に親しまれていた。 ラグビー場や スキー競技優勝杯に 宮様の名が 残されている事で、 理解されるであろう。 その上 勢津子妃殿下との

ご縁組みには、 恋愛結婚的な 要因も含まれているかに 伝えられ ——— 公には

されなかったが、 自然に 民間にももれ聞こえて ——— 人々は 一段と 親しみを感じ、

奉祝の気運が 高まっていたのである。

この 『今日の喜び』の曲が、 題名、 内容とともに、 四角張った 様式的な奉祝曲

ではなく、 踊りだしたくなるような 楽しい曲に 仕立てられたのは、 こうした

国民感情が 作曲者を通して 反映した、と解して 良いのでは ないだろうか。

 

今日のよろこび

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